先日、元都知事の猪瀬直樹さんが、エロサイトをブックマークにしていたことが話題になりました。

「なぜ、Xvideosをブックマークに?」 猪瀬直樹氏に聞いた - ITmedia

一連の流れを見ていて、最近読んだ「ルポ ネットリンチで人生を壊された人たち」に出てくるエピソードを思い出しました。

ジョン・ロンソン
光文社 (2017-02-15)
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本作は、Twitterやfacebookでの不用意な発言をきっかけに、いわゆる"炎上"状態に陥ってしまった人たちを描いたルポ作品。

「私、白人だからエイズになるわけないw」などと発言して、Twitter史上最大規模の炎上状態となり、所属している企業を解雇されたジャスティン・サッコや、戦没者墓地でふざけたポーズの写真を撮影、Facebookに投稿して大きな批判を浴びたリンゼー・ストーンといった人々の事例を紹介しています。

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いわゆる"ネット炎上"という今日的なテーマを扱っているので、それだけでも非常に興味深い内容なのですが、本作はそこにとどまりません。原題の「だから君は公開羞恥刑に遭った」が示すとおり、「人間にとっては恥とは何か」という、より広い視野にたってルポが進んでいきます。

そして、その過程で筆者は、ポルノ映画の撮影現場や「恥という概念を捨てる」ための怪しげなセミナーに参加したりするのです。

乱交画像が流出した男性のコメント


ルポの登場人物の1人に、5人の売春婦にナチス風の制服を着せて乱交している様子が、撮影され、メディアに掲載された国際自動車連盟会長のマックス・モズレー氏がいます。

モズレー氏は、一見致命的に感じられる、この出来事が起きた後も、面子を失うことがありませんでした。その理由については、本書を読んで確認して頂きたいのですが、同氏が画像の流出直後にメディアにコメントした内容が、非常に趣深いものとなっています。

「確かに自分の性生活は奇妙なものかもしれない。しかし、セックスの時には、誰もが多かれ少なかれ妙なことをするものではないだろうか。それだからと言って、その人の価値が 少しでも下がるなどとおもうのは愚か者だけだろう」

厚顔無恥のようにも思えますが、一方でえもいわれぬ説得力があります。

猪瀬さんにもこのぐらい力強い対応をして欲しかったと思いますが、何はともあれオススメの一冊でございました。

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