これはねぇ、シンプルな絵柄で淡々と、弱小出版社の日常が描かれているわけですが、なんていうか凄く"しみる"んですよねぇ。

重版未定
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川崎昌平
河出書房新社
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この作品は以下のサイトで読むことも出来ます。

川崎昌平 重版未定 第1話:入稿 - DOTPLACE 川崎昌平 重版未定 第1話:入稿 - DOTPLACE

「弱小出版社に勤務する編集者を主人公に描く、出版文化を深く考えるためのブラック・コメディ」という紹介の通り、作品内では、マンガ的なドラマ要素の薄い主人公の日常が描かれていきます。

「編集者の日常」と聞いて、皆さんはどんな姿を想像します?「働きマン」とか読んだ学生さんなどは、深夜までバリバリ仕事して、取材して、記事書いて…みたいな姿を想像するのかもしれません。でも、基本的には本作で描かれているように地味なんですよね。

もちろん超優秀なスーパー編集者は、リアル「働きマン」のように仕事をしているのかもしれません。でも、自分も含めて多くの人はそうじゃないと思うんですよ。部決で希望が通らなかったり、イベントの集客に苦労したり、販売や広告と揉めてみたり…というのは、地味でありながらも、出版社の日常を過剰なほどリアルに切り取っていると思います。

一番しみるの編集長の台詞


本作で一番心にしみるのは編集長の台詞です。辞表を提出する主人公を屋台に連れて行き、編集長は言うのです。

重版しない本はダメな本なのか?
千人の読者が求める本と一万人の読者が求める本は違う
一万人のための本ばかり編んでいたら似たような本ばかりになる
本のための本を編め

もちろん、みんな仕事でやってるわけですから、売れない、利益の出ない本とベストセラーの間には、超えられない高い壁があるわけです。それでも、「売れるだけために本を作っているわけじゃないよね」という編集者の思いが感じられる台詞なんですよねぇ。

僕自身、「紙は正直斜陽だよね」と思ってWebメディアの世界に来た人間ですが、元出版社勤務として、心の柔らかいところにビシビシと響く内容でした。

出版社のビジネスモデルの基本的な部分も非常にわかりやすく解説されているので、「紙つなげ」「あしたから出版社」あたりと並んで、出版志望者のバイブルにして欲しいと思います。

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