情報参謀 (講談社現代新書)
小口 日出彦
講談社
売り上げランキング: 2,061
これが新時代の情報戦だ! 

2009年の下野からわずか4年で政権を奪還した自民党。その水面下では、テレビとネットのメタデータを縦横無尽に駆使した政治情勢分析会議が行われていた。1461日間、自民党をデータ分析で導いた人物が初めて明かす、政権奪還の深層。

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2009年に野党に転落した自民党は、政権を奪還する過程で、非常に戦略的な情報分析活動を行ったそうです。そうした活動の参謀役を担ったのが、本書の著者である小口日出彦氏。

小口氏が中心となって、自民党はテレビ番組やネットのクチコミを収集・分析。集められたデータに基づいて戦略的に情報を発信を行い、党勢の回復、政権奪還へと歩を進めていく様子が、本書では描かれています。

「政党のメディア戦略」というと、とかく陰謀論などと絡めて語られがちですが、この本で描かれているのは、地道な情報収集と、それに基づく分析という、ビジネスの世界ではある意味“当たり前”なPDCAをまわす作業です。

ただ、政治の様々な動きに対する有権者の反応を、改めてデータによって提示されると深く腹オチさせられます。
ただし、私たちの調べでは、内閣不信任決議案や問責決議案は、むしろ野党の支持率を下げるらしいということがわかってきた。

例えば、国会審議中に民主党の閣僚にスキャンダルが出たとする。当然、そのスキャンダルの当人の名前のクチコミ量がすっと上がっていく。

ところが、どういう書き込みでクチコミ量が上がっているのかを調べてみると、「○○大臣が攻められているけど、どうでもいいよ。いい加減にしおてほしい」「もっと他にやることあるんじゃないの」といった意見があいつぐ。攻める野党側のイメージが悪くなっているのだ。

(中略)

このころの自民党の支持率が下がっている理由を情報分析会議で報告すると、茂木氏は「なんだ、問責(を)出すと評判(が)悪くなるのか」と驚いていた。

野党はもう少しがんばれよ…と思ってしまう


「やたらとスキャンダルを攻撃する」「通りもしない問責決議を提出する」といった行動が、支持率に影響がないどころか有害ということに、自民党は野党時代に気付き、それを党の方針に生かしている様子が、本書からうかがえます。

それに対して、現在の野党である民進党は、いまだにやってますよね、こういうこと。本書の著者である小口さんは自らの政治志向が自民党に近いことを明らかにしていますが、あくまで民間人です。野党だって、まともに金使って、ちゃんとした企業に発注すれば、まったく同じといえないまでも近い結論にたどり着けるはず。

にも関わらず、野党に小口さんのようなブレーンがいる気配をまったく感じないんですよね(もちろん僕が知らないだけでいるのかもしれない)。ちょっとTwitter検索すればわかるような有権者の空気感が、本気でわかってないんじゃないかなと思わされる言動が、野党側には多いように僕からは見えます。

自民党は野党時代に反省し、雌伏のときを過ごす間に、様々なノウハウを蓄積し、政権奪還後も活用しています。同じようなことを民進党がしているようには、まったく見えないんですよねぇ。。。

メディアと自民党 (角川新書)
西田 亮介
KADOKAWA/角川書店 (2015-10-24)
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ちなみに自民党の情報発信戦略を考える際には、西田亮介さんの「メディアと自民党」がオススメです。ここ数年のメディア構造の変化と、それを踏まえた自民党の情報発信の戦略についてコンパクトにまとまっていますよ。

自民党と代理店の陰謀は実在する?西田亮介氏と読み解く「メディアと政治」 (1/3)自民党と代理店の陰謀は実在する?西田亮介氏と読み解く「メディアと政治」 (1/3)

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