今日、たまたま、こんなニュースが流れました。

東京・リオ五輪招致で汚職の疑い、仏検察が捜査 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News東京・リオ五輪招致で汚職の疑い、仏検察が捜査 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

僕も今年で35歳ですからね、世の中がキレイゴトじゃすまないということぐらい理解しているつもりです。ましてや、莫大な利益や複雑な利害が発生するオリンピックやワールドカップといったイベントの招致をめぐっては、表沙汰にならない事情も多々あるのでしょう。

でも、やっぱり自分の好きなスポーツの分野ですから、公正明大じゃなくとも、せめて合理的ではあってほしいなぁと思います。でも、そうなっていない厳しい現実があるようです。

長い歴史をもつ日本のスポーツ界と電通


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本書は、ノンフィクションライターの田崎さんが、日本のサッカーと電通の歴史を、かつて専務として様々なスポーツビジネスを手掛けた高橋治之氏の証言を軸に描き出していきます。70年代のペレの引退試合から、日韓W杯招致まで、電通は日本のサッカー界に様々な形で関わっていました。その歴史をリアルタイムで体験してきた高橋さんの話からは、何ともいえぬ生々しさが感じられます。

W杯招致のためのロビー活動費(その額は8億円!)を生み出すために高橋氏がどのような手法を駆使したのか、といったあたりは本書の読みどころの一つでしょう。

政治に翻弄されたW杯招致


また、単純な条件の良否だけでは決まらないW杯招致の難しさも、本書では垣間見ることができます。一例として、元西ドイツ代表で、当時バイエルンミュンヘンのGMを務めていたウリー・へーネスの以下のような証言が紹介されています。
「私個人としては、2002年ワールドカップは日本でやるべきだと思っている。ただし、サッカー界の最優先事項は、アベランジェの再選を阻止することだ。アベランジェがアフリカ人と組んでやってきた"サッカー政治"を終わらせなければならない。現在のサッカー界は市場原理が欠けている。誰が一番稼いでいるのか。稼いでいる人間が主導権をとるべきである。つまり欧州だ」

P166


「日韓共同開催」という開催形式の裏には、こうした様々な政治的要素が渦巻いていたようです。

単純に「素晴らしいプレーを楽しみたい」というだけでは収まらないスポーツとビジネスの世界。その舞台裏を覗き込むことができる一冊でした。

電通とFIFA サッカーに群がる男たち (光文社新書)
田崎 健太
光文社 (2016-02-18)
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