先日ペラペラと雑誌を読んでいたところ、こんな広告を見つけました。



いや、僕も新卒で入ったのは出版社だし、今でも本を読むのも、買うのも大好きですよ。でも、これはさすがにちょっと我田引水が過ぎるんじゃないかなぁと思うわけです。
2014年の出版販売金額は前年比4.5%減の1兆6050億円でした。販売金額の落ち込みは1950年の統計開始以来最大なのです(出版科学研究所調べ)。

原因ははっきりしています。昨年4月に5%から8%に引き上げられた消費税の影響です。これ以上、本屋さんが減ることは日本文化の衰退につながらないでしょうか?

私たちは大いに危惧しています。子どもだちが全国どこでも等しく本に触れられる環境が破壊されることを!

お、おぅ…。

そもそも、出版販売金額は、2004年からは右肩下がりで2009年には2兆円を割っています。消費増税の影響がまったくないとは言えないのでしょうが、これまでも毎年3%程度下がってるんですよね。

「子どもだちが全国どこでも等しく本に触れられる環境」というのもよくわかりません。「Amazonがあるじゃないか」と思ってしまいますし、本屋を維持するためには軽減税率云々より産業政策的な部分の方が重要な気がします。

そんなに「活字文化!」っていうならさ


これは個人的な感覚ですけど、出版の仕事してる人たちも、こういう我田引水的な運動は望んでないと思うんですよね。純粋にコンテンツとして他のメディアと公平な土俵で勝負すればいいし、そういう気概はビジネスするなら絶対必要だと思うんですよ。

また、「活字文化」の重要性を謳うならメルマガとかウェブメディアにも軽減税率の導入すべきじゃないか、と思っちゃうんですよねぇ。そりゃ新聞や雑誌みたいに「民主主義のインフラだ!」と高らかに宣言するには、多少頼りないかもしれませんが、一定の役割を果たしてることは間違いないでしょう。

出版文化は僕も愛していますし、それが民主主義の維持に一定の役割を果たしていることも否定しません。でも、こんな風に「軽減税率は子どもたちへの贈り物である」とかドヤ顔で言われちゃうと冷めちゃいますよね、やっぱり。

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