先日、こんな記事が話題になっていました。

経団連、人口1億人維持へ提言 雇用多様に・街コン推進:朝日新聞デジタル経団連、人口1億人維持へ提言 雇用多様に・街コン推進:朝日新聞デジタル
男女の出会いが少ないことも大きな要因だとした。自治体などの結婚支援イベントは成果の検証がないと指摘。お見合い世話人に成功報酬を出す仕組みづくりや、商店街など主催の出会いイベント「街コン」を進めていくべきだとした。
経団連、人口1億人維持へ提言 雇用多様に・街コン推進 - 朝日新聞デジタル

この記事については、あくまでざっと見た感じですが、「はぁ?街コン?それよりも非正規とか長時間労働の問題とかの方が大事だろ?経団連わかってねぇな!!!」的なリアクションが多いようです。実際、以下のような記事も出ていますね。

経団連が少子化克服に「街コン推進」も異論が多数出る  - 夕刊アメーバニュース経団連が少子化克服に「街コン推進」も異論が多数出る  - 夕刊アメーバニュース

しかし一方で、こんなことを指摘している方もいました。


それなら一次資料を確認してみよう!!


今は大変ありがたいことに報道のソースになった資料なんかは大体ネット上に浮いてます。経団連のサイトに行ってみると簡単見つかりました。

経団連:人口減少への対応は待ったなし (2015-04-14)経団連:人口減少への対応は待ったなし (2015-04-14)

問題の「街コン」という単語が出てくるのは確かに下記の1箇所だけです。

第一に、アウトプット志向の政策展開である。
現在でも、地方活性化策の一つとして、自治体が主催する形で若者の結婚支援イベントが実施されていることは歓迎すべき動きと言える。しかしながら、未婚の男女を引き合わせる場所を提供するのみで、その後、何人が交際を始め、何割が結婚したかのフォローアップが充分にできていないとの指摘もある。その改善策として、お見合い世話人を任命し、世話人に対して、成功ベースで報酬を出す仕組みが考えられる。

第二は、民主導の取り組みである。現在でも「街コン」という形で、全国の 商店街が自主的に、男女の出会う場を提供するイベントを実施しているが、 これは地方経済の活性化という観点からも、一層推進すべき取り組みである。
P.31
これがどういう文脈で出てくるかというと、以下の調査結果を基に、「結婚を希望する男女のマッチングを促進」する仕組みづくりの重要性を訴える流れで登場しているのです。

35

このレポートでは「独身で居続ける理由は、適当な相手にめぐり合わないこと」→「見合い結婚が減ったからではないか」→「見合いを代替する手段として街コンみたいなのも一つの手段じゃないか」といった感じで論旨が展開されているのです。

目を向けるべき問題についても一応はカバーしてる


もちろん「街コンに力入れる前にやること山ほどあんだろ!!」というツッコミがあるのは当然です。

しかし、それについてもまったく触れてない訳じゃないんですよね。そもそも朝日の記事にも以下のような記述があります。
少子化の背景について、若い非正規社員の3人に1人が正社員になりたいのに非正規のまま働き、結婚や家計の維持が難しくなっていると指摘。対策として、企業は地域限定の正社員など働き方の選択肢を増やすことに取り組む必要があるとした。ただ、賃金引き上げなど抜本的な待遇改善には強く踏み込まなかった。
つまり、経団連は少子化の要因として「不安定な雇用による経済的不安」が大きいことを把握しているのです。そして、レポートでもそのことについては、しっかり言及しています。
(1)不本意非正規雇用者への対応等
未婚者の結婚の最大の障害は「経済的問題」である。そこで、若者が継続して就業し、安定した収入を稼げるようにする環境整備が重要となる。

(中略)

企業としては、意欲と能力のある自社の有期雇用社員に対して、正社員や多様な無期契約社員への転換制度の整備を進めることで、働き方の選択肢を積極的に増やしていくことが求められる。また、若者の就職機会の拡大を図る観点から、就職希望者に対して有益な企業情報を提供していくとともに、通年採用、既卒未就職者の採用にも積極的に取り組んでいく必要がある。

さらに、「トライアル雇用奨励金」や「有期実習型訓練」といった若者の正規雇用化に向 けた政府の支援策を積極的に活用することで、雇用機会の拡大に貢献していく姿勢が望まれる。
27〜28ページ
確かに朝日の記事の指摘にある通り、「マタハラ」の問題に触れていないなど不十分な点もあるでしょう。また、原因を認識しているにもかかわらず、きちんと対策に踏み込めていないことや優先順位の付け方といったことも問題です。しかし、今回のレポートに対するリアクションは、朝日の記事の見出しのイメージに引きずられた部分も大きかったのではないでしょうか。

興味のある方は、こちらから 全文読めますので、見てみてください。

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