「あぁ、これはスゴいマンガだな…」

アホっぽいようですが、読後の感想は上記のようなものでした。

2015-03-24-22-49-10
「いちえふ」は、原発事故を起こした福島第一原子力発電所で作業員として働く作者が、自らの体験を描いたルポ漫画です。第1巻が10万部を超えるベストセラーになっており、現在では海外で翻訳版の発売なども視野に入っているようです。

この作品を読むと、「マンガってやっぱりスゴいな」と思うんですよね。マンガというメディアの力を改めて思い知らされるというか。

原発事故の話というのは、非常にセンシティブですし、良くも悪くもすべての情報が非常な重大事のように報道されるので、どこか遠い場所の出来事のように感じてしまう部分があると思うんですよ。

それを竜田一人(作者)という原発作業員というキャラクターを通して描くことで、一気に自分とつながった日常の延長のように感じることができる。「マスクをつけてるから鼻がかゆい」とか「車のエアコンが壊れてて暑い」とか「タバコがなかなか吸えない」とか…。

みんなが当たり前のように感じていることを原発作業員の人たちも感じている。本当に当たり前のことなのですが、テキストよりもマンガで描くことによってスッと感情移入できる。これってマンガという表現だからこそ出来るのではないでしょうか。

というわけで、大分前ですが竜田さんへのインタビュー記事を書いたので、是非読んでみてください。

「原発の中も外の会社とそれほど変わらない」~漫画「いちえふ」作者・竜田一人氏インタビュー~ (1/2)「原発の中も外の会社とそれほど変わらない」~漫画「いちえふ」作者・竜田一人氏インタビュー~ (1/2)

このインタビューの中に出てくる担当編集者•篠原さんの以下の発言には深く頷かされるものがありました。

それまでは、 匿名の“作業員”という人がいるんだなという感じで、実際に働いている人の顔が全然見えてなかったのですが、「いちえふ」を読むと「こういう人が働いているんだ」とリアルに伝わってきたんです。

これからも続く原発事故からの復旧作業。その一側面を知るべく、中学とか高校の授業なんかで課題図書にしても良いぐらいの作品だと思います。

いちえふ 福島第一原子力発電所労働記(1) (モーニング KC)
竜田 一人
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いちえふ 福島第一原子力発電所労働記(2) (モーニング KC)
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