スルーされない
テレビの情報番組では、「いかに当事者意識をもってもらうか」が視聴率のカギになります。ですから、「視聴者の興味から遠いだろうネタ」を扱うときほど、「これ、決して他人事じゃないんですよ」という切り口を大事にしています。

たとえば、通学途中の小学生の列に車が突っ込んだというニュースを扱うときには、「ガードレールのない通学路が全国に××万か所もある」→「いつどこで起こってもおかしくない事故なのだ」と畳み込むようにして伝えると、視聴者に「当事者意識」が強く芽生えます。

テレビの情報番組ではこんな工夫で視聴者に当事者意識をもってもらい“つかむ”努力を怠っていません。

「とくダネ!」やBSフジの「プライムニュース」、「世界ふしぎ発見」などの台本を手掛ける放送作家・石田章洋さんの、「伝え方本」です。内容としては、「ポジティブな言葉を使おう」とか「名言を巧く引用しよう」といったノウハウ本で、社会人1~3年目ぐらいでプレゼンとか苦手な人にはぴったりな内容になっていると思います。

それよりも個人的に面白かったのは、最初に引用したような放送作家としてのテクニックの部分。ニュース番組にも台本が必要なのは、こういうテクニックで視聴率が変わるからなんだなと実感しました。不安を煽って当事者意識を芽生えさせる。「ディティール」ではなく「リード」ではじめるといった伝え方のテクニックがニュース番組でも使われているのです。こういうテクニックを知った上でテレビを見てると、いままでと違って見方が出来そうです。

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著者の石田さんは、元々落語家・三遊亭円楽に弟子入りしており、伊集院光さんの兄弟子だった時代もあったそうです。なので、後書きには、石田さんが放送作家を目指すに至った経緯が伊集院さんとのエピソードとあわせて描かれているのですが、こちらもこの本の読みどころの一つです。また、1日でサッと読み終わるのでプレゼン上手を目指す人には最適の本だと思います。