その名の通り、タレントでグラビアアイドルの壇蜜が2013年秋から2014年の夏にかけてしたためた日記の文庫化。時に1行だけの日もありつつ、淡々と33歳の女性の日々が綴られた本です。



壇蜜については、「あぁ近くにこういうエロい女性がいてほしいなぁ」という“男の子のファンタジー”を具現化した存在という程度の認識でした。なので、日記もきっと一般的ないわゆる“芸能人本”的な内容だと思っていたのですが、よい意味で期待を裏切られました。というか、正直にいうと、その文才に圧倒されました。

帯で「直木賞作家・桜木紫乃さん、驚愕!!」という煽りが踊っているのも決して誇張ではありません。10ページに1度ぐらいのペースで、思わず「みんなメモれー、コピれー」と叫びたくなるような表現が出てくるのです。

釣った魚に餌をやりすぎて殺すよな恋愛をよくする所も似ている。

いびきのひどい恋人に睡眠時間を奪われたような目覚めの悪さだった。経験談である。

それ売女じゃないなあ。お金もらってないもの。

ところどころに散りばめられた比喩表現、さらっと挿入されるエピソード、どこを切り取っても普通のグラビアアイドルに書ける文章だとは思えません。

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「芸能界の椅子、ここが空いてると思った?」
私「椅子は自分で作りました、だからすぐ壊れても仕方ないですね」

全部おごって貰ってじゃあまた、と帰るのも私がやったら張り倒されそうでこの番組に感情移入できない。

こうした自嘲も書き方によっては、嫌味に読めてしまうのですが、ほのかな自負とともに、リアルな切迫感を持って伝わってきます。

内容がすごく面白いか?と聞かれると首を傾げてしまうのですが、ブラウン管を通じて得る壇蜜のイメージとのギャップを楽しめるだけで570円の価値があると思います。これからは呼び付けではなく、「壇蜜先生」と呼びたくなってしまうような一冊でした。一方で、こんなに壇蜜について熱く語ってしまう自分に若干加齢を感じてもしまうのですが、仕方ありません。良いものは良いのです。最後に、僕が本書で最もうなった部分をご紹介しましょう。

昔の青年誌に掲載されていたアラン・ドロンの記事を紹介した上で、壇蜜は以下のように書くのです。

ちなみに雑誌には、来日したドロン師匠が日本人の女性ファンたちと懇親会をした記事も載っていた。参加者の乙女の一人は、彼の一番の魅力は何かと記者に聞かれ「眉間のシワ」と答えていた。シワで稼ぐ人生があるなら、スジで稼ぐ人生もあったってよいではないか。