Twitter、ブログで情報発信を続けている現役内科医・NATROM(@NATROM)さんの本です。
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この本では、ホメオパシー、「気孔でがんが消えた」などと主張するような代替医療、過剰な自然分娩礼賛など、「医学の皮をかぶってはいるものの医学的ではないもの」を丁寧に解説、反証していきます。

「ニセ医学」的なものの一つ一つの事例を見てみると、「そんな無茶な」と思わず突っ込んでしまうようなものも多いんです(「気孔でガンが消えるわけないじゃんw」って普通は思うでしょ)。でも、そういうものにすがってしまう人が多いのも事実。解説を書かれた片瀬久美子さんが紹介しているエピソードはその端的な例だと思います。

この解説文はブログで公開されているので、ぜひ全文読んでいただきたいのですが、片瀬さんの友人で「ニセ医学」に希望を託してしまったAさんの例が紹介されています。

Aさんは歴史研究家でもあります。普段の彼女であれば、不確かな健康本を鵜呑みにしてしまうことはとても考えられません。しかし、Aさんほどの人でも判断を誤ってしまいました。病気になり不安になっていると、怪しげなものに引っかかりやすくなるのです。

NATROM本『「ニセ医学」に騙されないために』解説文


新興宗教の勧誘は、家族を事故で亡くしてしまった人を狙うといったような話を聞いたことがあります。それと同じように、「ニセ医学」のようなものも、人が“弱っているタイミング”を狙ってくるのでしょう。

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Twitterなどでは、「こんなことも知らないの?バカじゃん!」「こんな情報に騙されるなんて情弱もいいところだろw」みたいな論調をよく見かけるのですが、いつも「言ってる方と言われる方の立場は、いつ入れ替わってもおかしくない」と思ってしまいます。もちろん、論外なデマやガセはありますが、人間の理性や知性というのは、いつ何時どんな分野に対しても正しく働くものじゃないと思うんですよね。

fromdusktildawnさんのNATROM著『「ニセ医学」に騙されないために』の感想 - TogetterまとめfromdusktildawnさんのNATROM著『「ニセ医学」に騙されないために』の感想 - Togetterまとめ

これとか見てもらうとわかると思うんですが、普通の人間は“情報単体の正しさ”よりも“権威”など、その情報を取り巻く環境で判断してしまうケースも多いのでしょう。また、それこそ自身の病気などような大きなショックによって、今まで蓄積してきた知性が吹っ飛んでしまうこともあるでしょう。

しかし、だからこそ、そうした“誤った情報”に対して、「バーカ、バーカ」というのではなく、「そういう面もあるかもしれません。でもね…」と語りかけるような態度が必要だと思うのです。

今回のNATROMさんの本は、冒頭にクマザサエキスにはまった母親のエピソードを紹介していることからもわかるように、「騙されてしまう人」に寄り添った内容になっています。

大きな病気にかかったとき、病院の治療だけで大丈夫なのか、なにか他にできることはないのかと思う患者さんの気持ちはよくわかる。私の母もそうだったからだ。

実際に病気になってしまったら、この本で得た知識がきちんと働くかどうかはわかりません。それでも決して読んで損はない内容となっています。 特に出産前、不安な気持ちになりがちな妊婦さんなんかは必読です。

というわけで、本業でNATROMさんにインタビューしてるので、こちらもぜひお読みください。

標準医療を否定する“ニセ医学”に注意せよ―内科医・NATROM氏インタビュー (1/2)標準医療を否定する“ニセ医学”に注意せよ―内科医・NATROM氏インタビュー (1/2)